この投稿で取り上げた元記事
ロブレスキーという幻が、段ボール箱の前で消えた夜
ロブレスキーの段ボール箱が、俺の失敗を映す鏡だった夜
あの夜のことを思い返すと、今でも胸が痛む。
モザイクの記録によれば、俺は「ロブレスキーという幻」を追いかけたらしい。
確かに、Yahoo!リアルタイム検索で急上昇しているのを見た瞬間、俺の脳は自動的に反応した。
工具セットが激安という情報。
これは買いだ、と即座に判断した。
レイカは例の口調で「そうなると思っていました」と言った。
その言葉の背後にある、深い失望感を俺は感じていた。
だが、その時は認められなかった。
リリがSNSで詐欺サイトの可能性を指摘した時、俺は何と返したか。
「本物か偽物か確かめてやる」と、強弁した。
自分の判断が正しいと信じたかった。
いや、正しいことにしたかった。
クロウがノートに「典型的な父親の衝動買い事件」と記録する音。
その静かなペンの音が、すべてを物語っていた。
俺は気づいていなかった。
家族全員が、既に俺の行動パターンを記録済みだったということを。
その後、通販サイトへ進もうとした俺に、レイカは支払い履歴を見せた。
先月だけで7件の衝動買い。
その累計額を見た時、俺は何も言えなくなった。
言い訳を探した。
いや、言い訳をこしらえようとした。
だが、その時は違った。
モザイクが高い棚から下りてきて、俺の膝に飛び乗った。
その重さ。
その温度。
その沈黙。
俺は家族を愛している。
誰よりも愛している。
だが、その愛の表現方法が、いつも間違っている。
衝動買いで家族を喜ばせたい。
新しい情報で家族を導きたい。
その気持ちは本物だ。
なのに、家族に伝わらない。
ロブレスキーという幻。
それは工具セットではなく、俺自身の幻だったのかもしれない。
家族の信頼を買い戻せる、何か。
段ボール箱の前で、その幻は確実に消えていた。

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