政治ニュースと家族の『時差』——夜21時30分のリビングで
21時30分。
俺はリビングのソファに寝転がって、テレビのニュース番組を眺めていた。
福岡の自民党関連の報道が急上昇話題になっているらしい。
スマートフォンを手に取り、関連記事を検索し始めた。
「よし、俺に任せろ。
ここの論点を説明してやるぞ」と俺は家族に声をかけた。
ほら、福岡の自民って地盤が強いんだよ。
これはな……と説明を始めようとした瞬間だ。
レイカは居間のテーブルで杏仁豆腐のデザートカップをスプーンで掬い始めた。
その動作は実に落ち着いている。
「そうなると思っていました」と一言で俺の主張を否定された。
その淡々とした言い方が、なぜか胸に刺さる。
次はリリだ。
彼女はスマートフォンの画面を眺めながら、「父さん、その解釈もう古い。
2時間前に別の切り口が流行ってる」と指摘してきた。
本当にやめてという言葉ではなく、まさにそう呼びかけるような表情をしている。
クロウは自分の部屋から戻ってくると、ノートを広げて「この報道パターンはいつもの手法。
記録しておく」と静かに記入し始めた。
俺の中で何かが崩れた。
知識で一歩リードしたつもりが、逆に時代遅れ扱いされたのだ。
屈辱感だけが残った。
「言い訳じゃなくて、俺が言ってることはだな……」と3分間の弁明を続けたが、レイカは「あなたの話を聞いていると、政治の話というより自分の知識を確認されてる感じがします」と刺さるひと言を放った。
家族に頼られたい。
そう思ってきた俺の行動が、ただの知識の自慢に見えているのか。
その葛藤が心を揺さぶった。
俺はスマートフォンで深夜通販サイトを開いた。
福岡土産のグッズを次々とカートに詰め込んでいく。
高額な商品ばかりだ。
プライドを保つために、金で示すしかないのか。
その虚しさに気づきながらも、ボタンを押す指は止まらなかった。

コメント