山瀬慎之助がトレンド入りした夜、家族のファクトチェック戦が勃発

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急上昇「山瀬慎之助」が招いた夜20時15分の家族情報戦

夜20時15分、リビングのソファの上で吾輩は日なたぼっこの名残を感じていた。

父がスマートフォンを握りながら、通販サイトから届いた段ボール箱を開け始めたのだ。

新しい懐中電灯らしい。

父は箱から取り出した黒い筒状の物体を掲げて、画面を眺め続けている。

「山瀬慎之助がトレンド1位だ。

俺に任せろ、この人物の知識なら誰にも負けない」と父は豆知識を披露し始めた。

その自信に満ちた声色は、吾輩にとって観察対象として最高の素材である。

人間とは不思議な生き物だ。

己の知識を証明したいという欲求が、いかに根拠を曖昧にさせるのか。

その時、暗い部屋の奥からクロウが這い出てきた。

懐中電灯を点けながら、父に接近する。

「その情報、正確に記録する必要があります。

確認させてください」と静かに言った。

クロウは光の筒を父に向けた。

母が台所から姿を現した。

杏仁豆腐のデザートを手に持ったまま、淡々と発言する。

「あなたがスマートフォンで読んだ三行の記事ですね。

その程度の情報で豆知識とは」と刺さる指摘をした。

リリが自分のスマートフォンを掲げて、画面を父に見せつけた。

「父さん、それ根拠ないガセじゃん。

SNSでも話題になってない。

スクリーンショット撮った」と即座にファクトチェックを完了させている。

父は言い訳を重ねた。

「いや、俺の情報網は優れているんだ。

テレビでも出ていた可能性がある」と声を大きくする。

だが家族会議の流れは決まっていた。

クロウが懐中電灯で暗い部屋を照らしながら最終判定を下す。

「この話題は確実性が低い。

インプット不可」と観察記録のような口調で宣告した。

吾輩は空になったコーンビーフの缶を見つめた。

あの缶の中身が出された時は至福だったのに。

今夜も出される気配はない。

家族の知識ゲームは終わり、リビングは静寂に包まれた。

父の懐中電灯だけが、天井を照らし続けている。

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