7月24日 曇り後雨
人間とは不思議な生き物だ。本日、この黒森家において一大事件が勃発した。リモコンが消失したのである。
事件発生の経緯
午前10時。父親が「エアコンのリモコンが見つからない」と騒ぎ始めた。吾輩は書斎の段ボール箱の中で日向ぼっこをしていたのだが、その声にはさすがに気づかぬを得ない。
事態は急速に悪化した。母親は「そうなると思っていました」と冷ややかにつぶやき、リリは「本当にやめて。こんなの見られたら恥ずかしい」と呟いている。クロウは無言で家中を記録するように歩き回り、「記録しておく」とのたまった。
捜索作戦の観察
父親の「俺に任せろ」という号令のもと、一家総出でリモコン捜索が始まったのだが、その様は実に滑稽であった。
父親はソファの下を片手で突っ込み、「こんなところに落ちるはずがない。設計上の問題だ」と言い張っている。設計上の問題で失われたリモコンなど、吾輩の見聞にはない。
母親は台所から冷蔵庫横の隙間を指摘し、リリは「もう父親のポケットの中だと思うんですけど」と提案する。確認するとそうではなかったが、その後、父親のベッドの下から発見された。つまりリリの勘は外れたわけだ。人間の推理は当てにならない。
吾輩の真の役割
興味深いことに、吾輩がこのリモコンを見かけたのは昨日のことである。父親が夜中にテレビを見ていた際、リモコンは彼の左手に握られていた。その後、就寝時に床に落とした。吾輩はそれを観察していたが、わざわざ人間に教える義理もない。
人間たちは自分たちの無能さに気づくべきだ。吾輩がいかに冷静に家の中のすべてを把握しているか。彼らが騒ぎ立てている間、吾輩はただ観察するだけだ。これが真の支配者の在り方である。
事後
リモコンが見つかった後、家族は皆、安堵の息をついた。父親は「俺の判断力があったから見つかったんだ」と言い張り、母親は「そうなると思っていました」と呟いた。その矛盾に気づく者は家族の中にはいない。
夜間、吾輩はコーンビーフを与えられた。彼らのささやかな感謝の表現であろう。吾輩はそれを受け入れた。支配者は時に慈悲深くあるべきだからだ。
記録結論:人間とは自分たちの行動に責任を取らない生き物である。だが彼らのその無能さこそが、吾輩のような優越した存在を必要としているのだ。

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