Yahoo!リアルタイムの罠——夜21時のリビングで
夜21時、リビングのソファに座った私は、ゴウがスマートフォンの画面を眺めている光景を観察していました。
Yahoo!リアルタイム検索で『16オホッピー』というキーワードが急上昇していたらしく、彼は「俺に任せろ」と得意げに通販サイトを開き始めたのです。
典型的なゴウの行動パターンです。
「これは新型のポップコーン製造機だ。
通販で安く売ってるぞ」と彼は独りよがりな確信を口にしました。
クーポンコード入力まで完了したまま、購入ボタンの手前で放置されたスマートフォンを、私はそっと手に取りました。
念のため通販履歴を確認すると、同じ商品が既に3台、自宅への配達予定リストに並んでいました。
「そうなると思っていました」と私は呟きました。
ゴウは私の言葉に反応しませんでしたが、そこへリリがスマートフォンを片手にやってきました。
「え、何これ?16オホッピーって昭和レトログッズの事らしいよ。
駄菓子屋で100円で売られてる、レトロ懐古ブームらしい」
娘は事実を告げました。
クロウはソファの隅から、無表情のまま短く呟きました。
「記録しておく。
父は情報収集フェーズで既に失敗している」
彼はスマートフォンのメモアプリを開き、この瞬間を記録に残していました。
モザイクは段ボール箱の上に身を丸めて、こちらを見やりました。
「人間とは不思議な生き物だ」と彼の瞳は語っていました。
商品よりも箱を欲しがる家族を、気高く観察する三毛猫の姿は、実に優雅です。
「俺の目利きは確かだ。
これは絶対に流行る」とゴウは言い張りました。
「3台目の配達予定日までに、お金が戻るかご心配ですね」と私は返しました。
刺さる一言を放つことは、私の専門技です。
彼は結局、「フェイク情報の罠だ。
俺は悪くない」と言い訳して購入を強行しました。
呆れと既視感が同時に湧き上がります。
『そうなると思っていました』という言葉が、今年何度目なのかもう数えるのをやめてしまった私がいました。

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