パシフィック・リーグ観戦ツアーの失敗——俺に任せろ、は誰のための言葉か
夜20時30分、リビングのテレビ画面にはパシフィック・リーグの試合中継が映っていた。
俺はスマートフォンを片手に、通販サイトを眺めていた。
Yahoo!リアルタイム検索で「パシフィック・リーグに連れてって」というワードが急上昇しているのを見かけたのだ。
それを機に、野球観戦ツアーの広告ページを発見した。
「俺に任せろ。
家族で球場観戦ツアーを企画する」と俺は宣言した。
レイカがキッチンから顔を出す。
「また衝動買いのパターンですね。
そうなると思っていました」と刺さるような声で言った。
クロウが座っていた場所でスマートフォンを取り出し、何かを記録し始めた。
「野球場の人工芝には都市伝説がある。
インプットした」と短く呟いた。
リリはソファから身を起こす。
「本当にやめて。
こういうの家族で行くと恥ずかしい」と反発した。
俺は気にせず続ける。
「パシフィック・リーグのツアーは節約プランもある。
俺の豆知識で最安値を見つけた」と自慢げに言った。
テレビ台の上から、モザイクが画面を見下ろしていた。
スマートフォンに映るツアーパッケージの画像を眺めながら、心の中で「人間とは不思議な生き物だ」と呟いている。
だが、その瞬間だった。
レイカが画面を奪うように確認する。
日程欄を指差した。
「このツアー、開催日が既に過ぎています」とレイカが静かに告げた。
俺の心臓が止まる。
「いや、これは次シーズンのツアーだ」と言い張った。
しかし、その場でクロウがスマートフォンで検索すると、開催予定日は3ヶ月前だった。
返金手数料もかかるという表示が出ている。
俺は言葉を失った。
リリが小さく溜息をついた。
レイカはただ杏仁豆腐の冷凍庫への設定を確認し始める。
クロウは黙々と記録を続けている。
結局、誰も観戦に行かない。
俺が家族に頼られるチャンスは、またしても消えた。

コメント