サイバリの罠——父の勘違いが運んだ段ボール箱の正体
夜22時、リビングに父が段ボール箱を抱えて現れた。
「来たぞ!最新のスマート家電だ」と、父は箱をテーブルに置いて興奮気味に叫ぶ。
スマートフォンの画面を見つめながら、父がナイフで箱を切り裂く。
その動作を母は椅子から眺めていた。
取り出されたのは、組立式のロボット掃除機。
説明書を手にした母が、黙って文字を追っていく。
「これ、サイバリ対応の自動掃除ロボですか」と、母は淡々と声を発した。
「そうだ。
俺に任せろ、大丈夫だから。
最先端技術ってわけだ」と父は胸を張る。
私はスマートフォンを手にして、Yahoo!リアルタイム検索の急上昇欄を開いた。
サイバリ。
検索結果を読み進めると、笑いが込み上げてくる。
「パパ、これ競馬用語じゃん。
馬券の買い方の造語だよ」と、私は画面を父に突きつけた。
「何?」と父が声を上げる。
同時に、クロウがソファから立ち上がった。
「記録しておく。
父の購買判断は危険水準に達している」と、クロウは静かにスマートフォンのメモアプリをタップする。
「違う、違う。
これは隠れた家電用語で、俺は先読みしていたんだ」と父が言い張る。
その言葉を聞きながら、モザイクが段ボール箱の中に入り込んだ。
上品に身体を折り曲げ、段ボールの匂いを嗅ぎながら、気持ちよさそうに寝転ぶ。
母は返品期限を確認する手つきで、商品説明書をめくり続けている。
「返金期限が切れる前に返却してください」と、母が冷たく指示した。
父は返品を拒否する構えを見せたが、私の関心はもう別のところにあった。
このネタ、SNSで使える。
本当にやめてほしい自分と、確実に拡散したい自分の葛藤の中で、私は父を観察し続けていた。

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