15本のナイフが家族会議に変わった夜
夜21時30分、俺はリビングのソファでリモコンを握りながらYahoo!リアルタイム検索を眺めていた。
『15本のナイフ所持』という急上昇話題を発見した瞬間、俺の脳は即座に変換を始めた。
「おい、見ろ。
15本のナイフセット、今なら半額らしいぞ。
俺に任せろ、通販で買うならこういう情報が大事なんだ」と、通販カタログをめくり始めた。
レイカが杏仁豆腐のスプーンを止めた。
「そうなると思っていました。
あなた、そのニュースは『15本のナイフを違法に所持した事件』という意味では」と、淡々と指摘してくる。
その瞬間、俺の胸に針が刺さったような違和感が走った。
クロウが無表情でノートに記入を始めた。
「記録しておく。
父は危険情報を買い物チャンスに変換する特殊能力を持っている」と、短く呟いた。
リリはスマートフォンを見つめながら、「本当にやめて。
父がニュース見てから30秒以内に商品検索始めるの、もう家族あるあるだ」と、呆れた表情で呟いた。
俺の頬が熱くなった。
高い棚からモザイクが俺たちを見下ろしている。
「人間とは不思議な生き物だ。
吾輩なら情報の正確さを確認する」と、気高い声で語った。
俺は通販カタログの該当ページをブックマークしながら、「まあ、情報感度が高いのは経営者の素質だ」と呟いた。
それは自分を褒めるための言い訳であり、家族の視線から逃げるための言葉だった。
その夜、俺は何も買わずに寝た。
だが脳裏には、あのナイフセットの画像が残っていた。

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