4旅サラダの失敗——話題に乗った男の末路
夜19時30分、ダイニングテーブルの上に四つの野菜サラダキットが並んでいた。
俺はテレビのグルメニュースで「4旅サラダ」が急上昇話題になっているのを見た瞬間、タブレットで通販注文を完了していた。
栄養価が最高だという豆知識を仕入れたのだ。
俺は自信を持ってサラダキットを食卓に置いた。
「俺に任せろ、このサラダは栄養価が最高らしい。
家族の健康のために選んだんだ」と声を張った。
レイカは食卓に着きながら、淡々と口を開いた。
「そうなると思っていました。
あなた、これ全部同じメーカーの通常商品ですよ。
セット販売の方が千円以上安かったはずです」
その言葉の直後、リリがスマートフォンを掲げた。
「父さん、マジでこれ個別注文より通販セット買う方が安かったじゃん。
また無駄な衝動買い」
俺の胸に一瞬の違和感が走った。
いや、健康投資だから無駄じゃない。
そう言い張ろうとした矢先、クロウが観察記録のように呟いた。
「記録しておく。
黒森ゴウの経済感覚は異常データである」
その静かな言葉が、俺にとって最もこたえた。
テーブルの端ではモザイクが野菜を眺めながら、心の中で「人間とは不思議な生き物だ」とつぶやいているのが分かる。
俺は言い訳を探した。
だが、結局サラダは半分残ることになった。
モザイクがコーンビーフを催促してきたからだ。
俺は急いで別の缶詰を用意する羽目になった。
悔しさと、モザイクに頼られたことで少し気を取り直した複雑な心情が、俺の中で絡み合っていた。

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