シュークリーム13個作戦は失敗に終わった――ネット商品に頼る父の末路

記事内に広告が含まれています。

13個のシュークリームと杏仁豆腐の約束

午後3時、玄関のドアベルが鳴った。

俺は配送業者から段ボール箱を受け取った。

Yahoo!リアルタイム検索で見かけた『13仲直りシュークリーム』だ。

通販サイトには『13個で家族円満になる』と書いてあった。

俺に任せろ、このシュークリームで家族の雰囲気を一気に変えてやると宣言した。

キッチンへ持ち込むと、レイカが振り返った。

「そうなると思っていました」と冷淡に返された。

俺の心は一瞬沈んだが、レイカは続ける。

「ところで、杏仁豆腐はありますか?」と確認した。

リリが部屋から出てきた。

「シュークリーム13個って多くない?」とスマートフォンを片手にツッコミを入れる。

俺は「大丈夫だから、みんなで食べるんだ」と説明した。

クロウも静かに現れて、短く呟いた。

「13という数字には古来より仲直りの力が宿るという記録がある」と厨二的に分析している。

俺はその言葉に少し救われた気がした。

モザイクが箱に飛び乗った。

器用に身体を折り曲げて、シュークリームの箱の中をのぞき込んでいる。

その横顔は、人間とは不思議な生き物だという思考を繰り返しているようだった。

いよいよシュークリームを開けると、レイカが静かに言った。

「その前に、あなたは先週のバッグ購入について説明していませんね」と指摘された。

俺の胸がドキッとする。

あの『RIEKO』バッグのことだ。

俺は慌てて答えた。

「これを食べれば、家族みんな仲良くなるんだ。

大丈夫だから」と根拠のない楽観を口にした。

シュークリームは本当に美味しかった。

リリも黙って食べている。

クロウも一つ口にした。

だがレイカは冷蔵庫を開けた。

杏仁豆腐がない。

俺は見事に準備を忘れていた。

レイカの顔が硬くなった。

俺は言い訳を追加する。

「杏仁豆腐があれば完璧だった」と呟いた。

だが妻の冷たい視線は変わらない。

13個のうち4個は開封されないまま冷蔵庫に残った。

夜、俺は次のネット商品で挽回できると考えていた。

内心は妻の冷たい視線に怯えながら。

コメント

タイトルとURLをコピーしました