真夜中の異変。吾輩の領域に侵入者あり

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7月26日 就寝前の小事件

人間とは不思議な生き物だ。

特に黒森家の人間どもは、夜の静寂を破ることに喜びを感じているらしい。

本日、吾輩が居間の段ボール箱で就寝準備を整えていた時刻は午後11時。

暑い日中を避け、夜間の涼しさを満喫する時間帯である。

吾輩の最高の休息スポット、日当たりの良い窓際に配置された大型段ボール箱の中で、身を丸めて瞑想していた。

突然の電子音の侵撃

その時だ。

階下から、父・ゴウの奇声が響き渡った。

「俺に任せろ!新しい扇風機だ!」という、いつもの根拠のない自信に満ちた声である。

続いて、段ボール箱の中まで振動が伝わるほどの物音。

ドタドタドタという足音、何かを引きずる音、そして最悪の音——

掃除機の起動音だ。

吾輩の耳が反応する前に、身体が反応した。

段ボール箱から飛び出し、二階への階段に身を隠す。

掃除機ほど厄介な敵はない。

吾輩の毛並みを逆立たせ、静寂を奪う悪魔的な機械である。

混乱する家族たち

二階から眺めると、リリが寝間着姿で現れた。

「本当にやめて。

こんな時間に何やってるの」と、呆れた声で父を制止しようとしている。

その後ろからは、母・レイカが現れた。

彼女の表情は冷淡だが、目は危険な光を放っている。

「そうなると思っていました。

新しい家電を買ったのに、まず掃除から始める。

典型的な段取りの悪さです」と、毒舌を放つ。

クロウも寝室から出てきたようだ。

無言で光景を観察し、「記録しておく。

午後11時3分、父による計画性なき家電導入。

家族の睡眠を脅かす事案」と、呟いている。

父は言い訳を始めた。

「いや、新商品だからな。

セッティングを夜のうちに済ませておけば、朝には完璧な環境が整う。

これは効率化なんだ」と、全く根拠のない正当化である。

吾輩の判断

人間とは本当に不思議な生き物だ。

計画性なく物を買い、その場の衝動で行動する。

それを「効率化」と称する。

吾輩であれば、昼間に実行し、夜間は完全に静寂を確保する。

当然である。

結局、掃除機の音は20分ほど続いた。

その間、吾輩は二階の静かな部屋——クロウの暗い書斎に避難した。

彼はオカルト研究に夢中で、吾輩の来訪に気づかない。

やがて、下階の騒乱も収まり、深夜0時を過ぎた頃、ようやく家全体が沈黙に包まれた。

吾輩は改めて段ボール箱へ戻った。

冷えた箱の中で、身を丸める。

コーンビーフの缶が明日の朝食になることを祈りながら。

人間どもは、夜の静寂の価値を知らない。

だからこそ、吾輩のような優れた生物が、この家を支配する必要があるのだ。

本日の記録:黒森家の秩序は、吾輩の忍耐によってのみ保たれている。

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