ソンブラの新スキンが暴露したもの——父の知ったかぶりと家族の静かな反撃
夜間21時30分。
リビングのソファに吾輩は横たわっていた。
足元の温度が心地よく、瞼が半ば閉じている。
その時、クロウが静かに呟いた。
「ソンブラの新スキン。
実装されたらしい」
短い言葉だ。
だが吾輩は即座に身体を丸めた。
人間たちの些細な興奮は、実に予測可能な波紋を生む。
その波紋が自分たちを巻き込むことを知っているからだ。
案の定、父が身を乗り出した。
スマートフォンをクロウから奪い取る。
「ソンブラって何だ?
俺に任せろ、調べてやる」
父は画面を睨みながら、自信満々に言い放った。
「暗号通信とか使う忍者キャラか。
IT技術が得意な女性キャラだな。
俺も若い時はこういうのに惹かれたぞ」
母は杏仁豆腐を食べていなかった。
スプーンを置き、淡々と声を放つ。
「暗号通信ですか。
そうなると思っていました。
あなたが何か無駄な課金をしそうだと」
リリはスマートフォンを片手に、速射砲のようにツッコむ。
「また父が知ったかぶってる。
ソンブラはメキシコ系のハッカーだし、見た目もスタイルも全然違う。
本当にやめて」
父は一瞬、言葉を失った。
だが吾輩が観察した限り、その沈黙は短い。
男は自分の面目を保つため、言い訳を探索する脳が高速で動作している。
「ああ、そういえばな。
グラフィックは時代で変わるんだ。
俺が見た情報は古かったんだろう」
リリが立ち上がる。
「これ以上課金やめて。
ゲームに金注ぎ込む余裕ないでしょ」
父の手が止まった。
スマートフォンの画面は購入画面を映していたはずだ。
吾輩はそれを知っていた。
沈黙が場を支配する。
母は再び杏仁豆腐に手を伸ばした。
人間たちの争いは、吾輩にとって退屈な現象だ。
ただし、解決の手段は決まっている。
吾輩は立ち上がり、鳴いた。
脚をリリに絡ませ、その後ろを歩く。
台所へ導く仕草。
コーンビーフの空き缶を人間たちはよく理解している。
リリが台所へ向かう。
その後を父も母も追う。
クロウだけが残り、スマートフォンを見つめていた。
新しいスキンの情報をインプットしているのだろう。
吾輩は台所で新しいコーンビーフを受け取った。
人間とは不思議な生き物だ。
ゲームのキャラクター一つで争い、猫の一鳴きで和解する。
その単純さに、吾輩は満足した。

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