夜のリビングで繰り広げられる虚言と家族の反論劇

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安室奈美恵と虚言癖の相性について

夜19時30分、リビング。

テレビの芸能ニュースから安室奈美恵の特集が流れていた。

ゴウが身を乗り出す。

「懐かしい歌手だな」と独り言を呟いた夫は、次の瞬間には自信満々の表情に変わった。

「俺に任せろ、安室奈美恵について豆知識がある」。

私は杏仁豆腐のデザートカップを手にしていた。

ゴウは話を続ける。

「あの歌手、沖縄出身で、1990年にデビューしたんだ。

俺が若い頃のマイブームだった」。

次々と間違った情報を述べていく。

引退時期も活動期間も、すべてが曖昧だ。

私はスプーンで杏仁豆腐をすくった。

「そうなると思っていました。

あなたの記憶は都市伝説レベルです」。

淡々と指摘すると、リリがスマートフォンで事実確認を始めた。

「父さん、それ全部違う。

本当にやめて」とリリが叫ぶ。

クロウは暗く観察ノートに記入している。

「記録しておく。

父の知識は根拠のない楽観と妄想で構成されている」。

短く、観察記録のような口調だ。

テレビから流れる歌声に反応して、モザイクが脚を止めた。

高い場所から降りてきて、リビングを横切りながら呟く。

「人間とは不思議な生き物だ。

偽の情報を堂々と述べるとは」。

ゴウは言い訳を重ねた。

「テレビの情報が間違っているんだ」と責任転嫁する。

私は杏仁豆腐を食べ終えた。

機嫌は若干改善している。

夫の知識欲と虚言癖の組み合わせ。

その可笑しさには、ブラックユーモアすら感じる。

モザイクはコーンビーフをおねだりして、その場を去った。

ゴウはまだテレビを眺めながら、何か言い張ろうとしている。

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