17ドレミファンタジーの夜——豆知識が活かせない時間の中で
夜20時30分、リビングのテレビ画面に急上昇話題「17ドレミファンタジー」が映っていた。
俺はソファに身を乗り出し、リモコンを握った。
「17ドレミファンタジーって知ってるか?俺に任せろ、説明してやる」と声を張った。
テレビの解説では音声パターンが流行しているという内容だったが、その詳細は曖昧だ。
だが俺にはそんなことは関係ない。
豆知識の出番だと確信していた。
クロウが観察記録を始めた。
「その話題、インプットしました。
記録します」と短く呟き、ノートを取り出した。
息子は番組の映像を詳しく見つめながら、何か怪奇現象でも分析するかのように眉を寄せた。
リリがツッコミを入れた。
「本当にやめて。
その古い説明、誰も求めてない」と素早く言い放つ。
娘の言葉は刃物のように鋭い。
だがこの瞬間、俺は17ドレミファンタジーの音声パターンを口で真似し始めた。
「ドレミファ、ミファソ、ファソラ……」と、まるで子どもじみた音を発した。
レイカがテーブルに杏仁豆腐を置いた。
「そうなると思っていました」と淡々と言い、スプーンを傍に添えた。
妻の声に俺は舞い上がった。
機嫌がよく見えたのだ。
杏仁豆腐は彼女が好物だ。
これは俺の説明が上品な雰囲気を作ったに違いないと、勝手に解釈した心が喜びに満ちた。
モザイクが高い棚から家族を見下ろしていた。
三毛猫の目は、我々の様子を冷静に観察していた。
「人間とは不思議な生き物だ」と、心の声だけが家族の騒動を記録していた。
結局、番組は終わった。
クロウの怪奇分析もリリのSNS知識も、俺の豆知識を論破してしまった。
だが俺は気にしない。
レイカが杏仁豆腐を食べながら、少しだけ満足そうに見えたからだ。

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