朴ロ美のトレンドが映す、夫の虚勢と猫の現実——8月19日夜の食卓
夜19時30分、ダイニングテーブルに唐揚げと杏仁豆腐が並んでいた。
私はスマートフォンの画面を眺めていた。
芸能ニュースの急上昇欄に「朴ロ美」という名前が浮上していたのだ。
「朴ロ美がトレンド1位らしい」と、私は杏仁豆腐を一口食べながら呟いた。
夫は即座に反応した。
「朴ロ美?誰だ。
声優か何かか」と、得意げに豆知識を披露する態勢を整えた。
クロウが観察記録のように口を開いた。
「声優データをインプット済み。
複数の作品で記録されている」と淡々と分析する。
リリがスマートフォンを掲げた。
「この声優、前からトレンド入ってたよ。
父さんが知らないだけ」とSNS感覚で指摘した。
夫は素早く言い訳を見つけ出した。
「実は俺も知ってた。
ネットのゴシップで見たから」と後付けで自信満々に返答する。
その瞬間、私は杏仁豆腐を一口食べた。
甘さが広がる中で、そうなると思っていました、と静かに呟いた。
クロウはペンを手に何かを記録している。
リリは「本当にやめて」とため息をついた。
その時、モザイクが夫の皿から唐揚げを一つ奪い取り、窓辺へ消えていった。
夫は文句も言わず、その猫の姿を眺めている。
杏仁豆腐の甘さは相変わらずで、この予定調和の家族風景は何度目だろうか。
知ったかぶりをして後付け言い訳をして、最後は猫に負ける。
そのループの中で、誰もが自分の役割を完璧に演じていた。

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