19中島佑気ジョセフ、父の見栄と現代の暴露装置
夜21時30分。
リビングのソファに母が杏仁豆腐を前に座り、私はスマートフォンを握っていた。
父がYahoo!リアルタイム検索で見つけた「19中島佑気ジョセフ」という急上昇話題を、自信満々に説明し始めたのだ。
「俺に任せろ、これはだな、現代の情報化社会と個人の可視化現象を象徴してるんだ。
豆知識によると、インターネットの黎明期から考えると…」父は片手でスマートフォンを掲げ、もう一方の手でうんちくを積み重ねていく。
母はスプーンを動かし続けたままだった。
「そうなると思っていました」と母が呟いた。
その一言に何かが引っかかった。
私はスマートフォンでSNSを検索し、同じ話題を調べ始めた。
父の説明は的外れだった。
投稿内容、背景、コンテキスト、すべてが異なっていた。
私は即座に声を上げた。
「あ、ちょっと待ってください。
父さんが言ってるのと全然違うんですけど」
父の顔が硬くなった。
だが次の瞬間、彼は言い張った。
「いや、知り合いというのはだな、人間関係の深さの問題でだ。
俺はこの人のことを…」
父が「知り合い」だと言い張ったのだ。
人物名を挙げて。
スマートフォンで事実確認を完了した私は、確信を持って指摘した。
「これ、父さんと何の関係もない人ですよ」
父は言い訳を続けようとしたが、その瞬間、母の「そうなると思っていました」が再度放たれた。
クロウはリビングの端で手帳に何かを書き込んでいた。
観察記録だろう。
父の矛盾点を。
そのときモザイクがコーンビーフの缶を見つけて父に擦り寄った。
父は反射的にモザイクをなでて、その場をしのごうとする。
モザイクは器用に缶を食べ始めた。
家族全員の視線がそこへ移る。
父の沈黙が始まった。
母は杏仁豆腐をスプーンですくい、クロウは冷たい視線を父へ向けていた。
現代の情報社会では、見栄は即座に暴露される。
父のその場しのぎの嘘は、私のスマートフォン一つで粉々になる。
かつてはそうではなかったはずだ。
でも今、この家族はそういう構造に変わってしまった。
モザイクがコーンビーフを完食して高い場所へ移動していく。
その満足げな仕草だけが、この夜間の家族会議における唯一の真実であるように見えた。

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