スクール革命への衝動——通販カタログと家族の沈黙
夜20時30分、リビングのテレビからスクール革命の特集が流れていた。
俺は身を乗り出し、テーブルの上に通販カタログを広げ始めた。
「おい、聞け。
スクール革命って知ってるか。
教育が変わってるんだ」と声を張った。
画面に映る革新的な学習法に、俺の脳は即座に反応していた。
家族を教育改革する——その使命感が、俺の手を動かしていたのだ。
クロウがソファから身を起こし、黒いノートを取り出した。
「記録しておく。
父がまた根拠のない楽観を垂れ流している」と、淡々とボールペンを走らせている。
その声音に、俺の胸がざわついた。
リリはスマートフォンを握ったまま、呟くように言った。
「本当にやめて。
#親の教育観が令和に追いついていない とか呟こうと思ってたのに」と、その指は画面を照らしていた。
レイカが台所から戻ってきた。
杏仁豆腐のスプーンを握ったまま、座卓に向き直った。
「そうなると思っていました。
また衝動買いですね」と、刺さるような口調で俺を指した。
俺は即座に言い返した。
「違う。
これは投資だ。
学びは家で完結する時代なんだ。
子どもたちの未来のためだ」と、カタログをめくる速度を上げた。
その瞬間、モザイクがテーブルの脇で身をすりつけてきた。
「ニャーオ」と高く鳴いた。
コーンビーフを要求する声だ。
俺は反射的に立ち上がった。
カタログに映る高額な教材——英語学習セット、プログラミング教室、科学実験キット。
俺の指はそれらを次々とタップしていった。
クレジットカード番号を入力する瞬間、俺の心臓は高く鳴っていた。
注文が完了した。
合計額は127,500円。
リビングの沈黙が戻った。
クロウのノートには「父の衝動的啓発活動により家計が0.5%悪化。
記録開始日時20時32分」と記されていた。
レイカは杏仁豆腐のスプーンを動かし、「無計画ですね」と呟いた。
俺は言い訳を準備していた。
「これは子どもたちへの愛への投資だから」と、その言葉がどれほど脆いものか、俺自身が最も知っていた。

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