予想通りの展開
そうなると思っていました。
夜の九時、リビングで息子がタブレットを見ていたら、その画面に映ったニュースが引き金になった。
某有名タレントの不倫疑惑だとか、政治家の発言の是非だとか、その手の話題である。
夫はすぐに反応し、『俺に任せろ、この話なら詳しいぞ』と豆知識を振りかざし始めた。
長女はSNSで既に複数の切り取り動画を見ており、『本当にやめて』と両親を一瞥しながらつぶやいている。
制御不能な家族会議
夫の『うんちく』は止まらない。
根拠が曖昧な部分も多々あるが、自信満々に言い張られると、否定するのも面倒である。
ただし長女がそこに食いついた。
SNSでの情報と矛盾する点を指摘し、テンポよく反論している。
夫は『いや、それはだな』と言い訳を用意し始めた。
長男は黙ったまま、何かを『記録しておく』つもりなのだろう。
その観察眼は、家族の中で最も冷徹かもしれない。
モザイクの判定
そんな中、モザイクは高い棚から下を見おろしていた。
人間とは不思議な生き物だ、という顔で。
コーンビーフの缶詰を見せると、たちまち態度を変えて降りてくる。
我が家で最も現実的で、ぶれない判断基準を持つのは、実は夫でも私でもなく、あの三毛猫なのだと改めて実感する瞬間である。
結局のところ
家族会議は結論に至らないまま終わった。
これが日常だ。
夫は『大丈夫だから』と根拠なく楽観視し、長女は『本当にやめて』と疲れた表情で去り、長男は『インプットした』とだけ言い残す。
私は片付けをしながら観察する。
この家族の一つ一つの反応、言い訳、ツッコミ、沈黙。
すべてが予想通りで、それでいて毎回同じではない。
杏仁豆腐を準備しようか。
そうすれば、少なくとも私の機嫌は良くなる。

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