南大東島が家族会議のきっかけに。物流の話題から見える、それぞれの欲望

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南大東島の物流が映す、家族のバラバラな欲望

夜21時30分、リビングのソファに私は座っていた。

ゴウがスマートフォンを掲げ、夜間配送のニュース記事を見ていた。

彼は画面から顔を上げ、リリに向かって声を張った。

「な、見ろ。

南大東島は日本で最も離島らしいぞ。

俺に任せろ、この島の特異性について説明してやる」。

ゴウの豆知識の出発が始まる。

私は冷淡に質問を挟んだ。

「どこの記事ですか」。

彼の話を遮ったのは、記事の信頼性を疑ったからではなく、彼の自信満々の態度が予測可能だったからだ。

案の定、彼は引っ込まない。

クロウはスマートフォンを手に取り、地図アプリを開いた。

画面を拡大表示しながら、短く呟いた。

「離島は通常のルートから外れた場所。

記録に値する」。

彼の観察眼は、南大東島の地理情報に吸い寄せられている。

ゴウは勢いに乗った。

「配送が難しい離島だから、通販で買うと高くなるはずだ。

そうだろ」とリリに同意を求めた。

リリはスマートフォンの画面から顔を上げず、即座に返した。

「そんなことより、この島でインスタ映えする海の写真撮りたい」。

彼女のSNS感覚は、物流の仕組みなど関心の外だ。

私は観察していた。

ゴウの『配送費が高い理由の推測』は、根拠のない仮説に過ぎない。

実際の南大東島の物流状況とは無関係だろう。

クロウは記録欲が、リリはSNS欲が、それぞれ異なる方向に向かっていた。

リビングの隅では、モザイクが海の映像に一番興味を示していた。

窓際に移動した彼は、スマートフォンの画面をじっと眺めている。

人間とは不思議な生き物だという顔で。

その夜、誰も実際に島へ行く計画は立たなかった。

情報交換で終わった。

そうなると思っていた。

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