LOL(大笑い)- ネット用語としての流行に揺れた家族の一夜

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「笑い」の定義が家族を二分した夜——LOLという三文字の罠

夜20時30分、リビングのソファに腰を下ろしていた。

テレビのリモコンを手に、何気なくスマートフォンを開いていたリリが声を上げた。

「『LOL』ってこんなに流行ってるんですか?」

スマートフォンの画面には、SNSの投稿が無数に映り込んでいた。

確かに『LOL』という表記が異常に増えている。

これは俺の出番だ。

豆知識で家族を唸らせる瞬間がやってきた。

「俺に任せろ。

LOLはラフ・アウト・ラウドの略だ。

昔からある英語だぜ。

ネットで読んだ記事に書いてあった」

俺は自信満々に説明した。

家族に知られていない知識を披露できる快感。

これが俺の生きる実感だ。

しかしクロウが手帳を取り出し、静かに書き込み始めた。

「記録しておく。

人類の言語進化の一種だ」

暗い顔で呟く息子。

その直後、レイカが厳密な口調で指摘してきた。

「つまり、あなたたちは笑っているふりをしているわけですね。

実際は笑っていないと」

ブラックユーモアだ。

妻のそれは、俺の説明を根底から否定する言い方だった。

リリがすかさず反応する。

「だから何ですか」

娘の素早いツッコミ。

俺は言い訳を繰り出した。

「昔からある英語だから、お前らが後付けで流行らせたんだ。

俺の説明が正しい」

だが妻の次の言葉が、俺の確信を揺さぶった。

「昔からあるものが流行るのと、新しく流行るのは違いますね」

その通りだった。

だが認められない。

クロウが分析を深める。

「つまり、世代ごとの言語記録に差異が生じているということか」

リリは『もう説教はいいです』と言い残して部屋を出ていった。

モザイクだけが、ソファの上で平穏に眠り続けている。

俺は最新の話題に詳しいと思わせたのに、完全に出し抜かれた。

悔しさが胸に残った。

しかし心の奥底では、自分の説明も間違っていないと言い訳していた。

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