不二家の新作ケーキが急上昇—俺の判断が正しかったことの証明
夜20時、リビングの窓から夜風が吹き込んでいた。
俺はスマートフォンを握り、Yahoo!リアルタイムで「不二家」という文字を見つけた瞬間、身を乗り出した。
新作ケーキが話題になっているという。
テレビでも見たあの商品だ。
「やっぱりな。
俺に任せろ、大丈夫だから」と俺は呟いた。
通販サイトを開き、クレジットカードを手にした。
期間限定という文字が目に入った。
後悔するぞ、という不安が脳裏をかすめたが、振り払った。
この判断こそが父親としての先見の眼だ。
そう自分に言い聞かせ、俺は注文を確定させた。
3種類、合計12個。
金額は15,800円。
「何をしているのですか」。
背後から冷たい声が聞こえた。
母だ。
画面を覗き込んだ母は、淡々と言った。
「そうなると思っていました。
今月の食費予算は既に超過しています」と。
俺は反論した。
「見たのか、テレビで。
期間限定なんだ。
今買わないと後悔するんだ。
これは衝動買いじゃなくて、戦略的な買い物なんだ」と。
母は息を吸った。
そのまま台所へ消えた。
リリが写真を撮り始めた。
「本当にやめて。
これ家族のSNSに絶対出すからな」と彼女は呟いた。
クロウはスマートフォンを取り出した。
「記録しておく。
父は衝動買いの危険性を認識していない。
インプットした」と、いつもの無表情で言った。
モザイクが俺の足元で体をすり寄せた。
「人間とは不思議な生き物だ」と、そう鳴いているように思えた。
翌日、ケーキが届いた。
予想より小さかった。
パッケージを見て、俺は咄嗟に言った。
「これだ、通販は実物より小さく見えるのが業界の常識だから。
俺は知ってたんだ」と。
母は杏仁豆腐を作ろうとしていた。
その背中を見て、俺は言葉を失った。

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