モザイクの失踪と家族の大騒動——俺の完璧な計画は猫に邪魔された
7月27日の午後3時。
俺は居間で防水塗料の説明書をようやく見つけたばかりで、気分はすこぶる良かった。
レイカに濡れ衣を着せてしまったことについては、まあ、そのうち何とかなるだろうと考えていた。
だがその時、玄関から悲鳴に近い声が上がった。
「お父さん!モザイクがいない!」
リリだ。
俺は説明書を片手に立ち上がった。
「何を言ってるんだ。
さっき窓から見たぞ」と返したが、リリの表情は真剣だった。
「朝からずっと帰ってきてないの。
SNSで近所の人たちも騒いでる」
その言葉で俺の脳は現実に引き戻された。
朝の大騒ぎを思い出す。
あの時、モザイクは隣町の方へ消えていったはずだ。
昼間、クロウが路地で見た三匹の猫のことも気になる。
レイカは冷静な声で「そうなると思っていました」と呟いた。
完全に後付けされた感があったが、その時の俺はそんなことを言っている場合ではなかった。
俺は走った。
近所を探し回った。
商店街、公園、隣町との境の橋。
どこにもモザイクはいなかった。
帰宅してからも、俺の心は落ち着かなかった。
あの気高い三毛猫を失ったという事実が、予想外の形で家族を揺さぶっていた。
防水塗料の説明書など、今はどうでもいいものに思えた。
リリがスマートフォンの画面を見つめながら、「近所のボス猫らしいのに、こんなことって…」と呟く。
その時、俺は気付き始めていた。
モザイクは家族の中心にいたのだ。
その存在の大きさを、失くして初めて感じている。

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