12GPT-6が暴く、父の情報リテラシーの限界
夜21時30分。
リビングのソファに父が仰向けに寝転びながら、スマートフォンの画面を掲げていた。
Yahoo!リアルタイム検索に「12GPT-6」が急上昇しているのを見つけたらしい。
「俺に任せろ、これはすごい。
最新のAI技術だ」と父は自信満々の声で説明を始めた。
画面には確かに急上昇ワードが表示されていたが、父の説明は既に怪しさに満ちていた。
私はスマートフォンを握りながら、SNSで同じ「12GPT-6」を検索していた。
Twitter、TikTok、Instagramで拾える情報と、父が垂れ流す豆知識が完全に食い違っていた。
「お父さん、それ全然違う情報ですけど」と私は指摘した。
父は「いや、俺が正しい。
大丈夫だから」と言い張りながら、通販サイトを開き始めた。
12GPT-6の関連商品とやらを、根拠なく購入しようとしている。
母はリビングのテーブルで家計簿に目を落としたまま、静かに一言放った。
「そうなると思っていました」と。
母の声は淡々としていたが、その後ろに隠された深い絶望感が透けて見えた。
父は購入ボタンに指を伸ばしかけたが、母が「ご主人、あなたのAI知識では御用済みのようです」と切り返した。
その一言で父の手は止まった。
通販サイトはそのまま閉じられた。
奥の部屋から父の説明を聞いていたクロウは、ノートパソコンを開きながら「記録しておく」と呟いた。
12GPT-6に関する都市伝説を検索しているのだろう。
やがてクロウは「12GPT-6は人間の思考を完全に読み取る機械らしい」という造説を観察ノートに記入して、満足げに背もたれに身を預けた。
モザイクはこの一連の騒ぎを、食卓に置かれたコーンビーフの缶詰の上から冷徹に観察していた。
吾輩の視線には、人間たちのこの滑稽な光景が映っているのだろう。
私は父の説明がSNS知識で簡単に論破される瞬間を目撃して、呆れと若干の笑いが胸の奥に混ざるのを感じていた。
同時に、この家族のシステムが一度また確認された感覚もあった。

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