ティグルダンスと転倒の夜——俺の采配は間違っていない
夜19時30分、リビングに俺は座っていた。
スマートフォンを握り、Yahoo!リアルタイム検索でティグル(急上昇ダンス動画)を見つけた瞬間、俺は立ち上がった。
「見ろよ、これが今バズってるティグルダンスだ。
俺に任せろ、大丈夫だから。
基本ステップなんて簡単に覚えられる」と言い張った俺は、テレビの前に立った。
動画を再生しながら、自信満々に両手を上げた。
ステップは右足を引いて、回転して、両腕を交差させる——そのはずだった。
だが俺がやったのは左足を前に出し、奇妙な腰の動きで完全に別のダンスになっていた。
「本来のティグルはこれなんだぜ」と俺が語ると、クロウはスマートフォンを握った。
「記録しておく。
このダンスモーション、実は古い儀式的シンボルを隠蔽している可能性がある」と呟き、記録ノートに『世界支配階級による社会統制ツール』と書き始めた。
リリは即座にSNSを開いた。
「ハッシュタグ『#ティグルダンス』、微妙だし。
投稿数16万件。
これ本当に流行ってるの?」と指摘された瞬間、俺は気圧された。
そこで俺は再度ステップを試みた。
回転の勢いのまま、テレビの前に置いてあった段ボール箱に右足を引っかけて、派手に転倒した。
ドサッという音がリビングに響き渡る。
俺の腰が床に着地する。
その瞬間、レイカが台所から戻ってきた。
「そうなると思っていました」と冷静に呟き、杏仁豆腐が入った器を持ってきた。
俺は転倒の恥ずかしさを感じたが、その豆腐を目にした時、気分が一変した。
「実は俺のやり方が本来の古いティグルで、今のはアレンジ版だ。
昔の記録にはこういう流派がある」と言い張りながら、杏仁豆腐を口に運んだ。
段ボール箱の中からモザイクが顔を出した。
高い位置から俺を見下ろしながら、「人間とは不思議な生き物だ」と鳴いた。
俺はティグルダンス講師としての自分を信じ続けている。

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