朝7時20分の冷蔵庫戦争—父のコーヒーと家族の朝食

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朝七時二十分、冷蔵庫の戦い

朝七時二十分。

僕はキッチンで冷蔵庫を開けた。

牛乳パックを取り出すと、液体が底に残っているだけだった。

残量は半分以下。

記録しておく。

その時、父が台所に入ってきた。

朝のコーヒーを淹れるために来たのだろう。

父は冷蔵庫から牛乳を取り出し、自分のマグカップに注ぎ始めた。

僕は観察した。

父は迷わずに注いでいた。

「ちょっと待ってください」

僕は短く言った。

「朝食に必要です」

父は振り返った。

「俺に任せろ。

朝のコーヒーは家族の平和だ」

父はそう言い張った。

但し、その表情は迷いが宿っていた。

母が現れた。

計量カップを手に持っていた。

彼女は無言で冷蔵庫の牛乳を取り、カップに移した。

液体の高さを測っている。

「そうなると思っていました」

母は淡々と言った。

「四百五十ミリリットル。

朝食に必要な量です」

父が反論した。

「コーヒーは家族の潤滑油だ。

俺の自由だ」

但し、口調は弱まっていた。

父の言い訳が続いた。

確かに、父は家族を愛している。

その表現方法が間違っているだけだ。

朝七時二十分の小さな争いを、父は戦争だと思い込んでいる。

母は父に視線を向けた。

「コンビニへ行きませんか」

それは提案ではなく、指示だった。

父は黙って玄関に向かった。

靴を履き、ドアを開けた。

七時三十分。

父はコンビニへ向かった。

帰ってくる時間は計算できない。

母は計量カップを洗った。

その動作は平常だった。

彼女は毎朝、このような戦いが起きることを知っていた。

知った上で、黙って観察している。

それが母のやり方だ。

僕は記録した。

朝七時二十分、冷蔵庫の牛乳が半分しかなかったこと。

父がコーヒーを優先したこと。

母が計量カップで測ったこと。

その後の展開は、既に予測済みだった。

朝食の時間が来た。

父は帰ってこない。

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